Spermidine投与後におけるラット下垂体前葉細胞の電子顕微鏡的研究
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概要
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Schallyらの報告したFSH-RF作用を有するspermidineをラットの腹腔内に投与し, 下垂体前葉細胞における超微細構造の変化を経時的に電顕を用い観察し, 次の結果を得た. 1)投与後5分, FSH細胞内分泌顆粒の著しい減少を認めるが, 他の分泌細胞には著変を認めない. 2)投与後15分, FSH細胞内分泌顆粒は減少すると共に, 粗面小胞体の拡張およびその内腔にコロイド状物質を認め, Golgi装億もかなり発達する. GH細胞内分泌顆粒は減少すると共に, 細胞周辺に移動し, またperivascular spaceへ放出された像が認められる. 3)投与後30分FSH細胞内分泌顆粒は著しく減少し, 類円形状に拡張した粗面小胞体が多数細胞内を古め, あたかも蜂の巣ようの構造を呈する. また, 中には拡張した粗面小胞体が互いに融合して巨大な腔隙をつくり, 分泌顆粒は軽度に蓄績される. Golgi装置の発達も著しい. これらの細胞は, 去勢後60日目にみられるものとよく類似する. GH細胞内分泌顆粒は著しく減少すると共に, 細胞周辺に移動し細胞膜にそつて一列に配列する. 粗面小胞体, Golgi装置の発達も著しく, また細胞内には多数のlysosomeが認められる. これらの細胞は去勢時にみられるGH細胞とよく類似する. LH細胞内分泌顆粒は軽度に減少し, 細胞内小器官の発達も認められる. これらの細胞は去勢時にみられるLH細胞とよく類似する. 4)投与後60分, FSH細胞およびLH細胞は対照にみられるものと比較してほとんど変化を認めない. しかし依然としてGH細胞内分泌顆粒は減少し, 細胞内小器官の発達を認め, またGolgi小胞内に分泌顆粒の形成がみられる. 以上の事実はspermidineにFSH-RF, GH-RF, LH-RF作用のあることを形態学的立場から示唆するものと思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-11-01
著者
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