マウス子宮上皮細胞のオートラジオグラフィー的研究
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概要
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正常, 去勢マウスの子宮頚部上皮, 子宮内膜上皮並びに 20 methylcholanthrene 誘発頚癌細胞の増殖態度を知る目的で, ^3H-thymidine を腹腔内に注射し, 経時的に観察した. 1) 正常マウスの子宮頚部扁平上皮では, 基底層にのみ有糸分裂が見られ, prophase 以降で見られる細胞分裂の方向は垂直方向が多く, 発情期では僅かに水平分裂も見られた. 一方, 子宮頚部 transitional zone において reserve cell hyperplasia の場合, 分裂細胞は各上皮層に認められ, 且つ細胞分裂の方向は, 水平分裂かやゝ多く, この円柱上皮下細胞領域全体が増殖細胞集団としての compartment と想定される. 2) 正常マウス子宮頚部扁平上皮の世代時間は約30時間, transitional zone では約40時間, 内膜被覆上皮では約34時間と求められた. 3) transitional zone の標識細胞の分布より3型に分類した. この標識細胞の動態より reserve cell より円柱上皮への分化の移行模式図を示した. 4) 去勢による標識率の低下は, 頚部扁平上皮, transitional zone で著明であるが, 内膜円柱上皮では著明でない. 5) 20 methylcholanthrene 誘発頚癌において, 間質と接する細胞集団と腫瘍全体を比較した場合 labeling index と mitotic index において 著明な差を認めなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-04-01
著者
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