子宮中胚葉性混合腫瘍の剥離細胞診 : 治療前採取細胞診標本の再評価

概要

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9例の子宮中胚葉性混合腫瘍の患者より,治療前に採取した30枚の細胞診標本の有用性とその所見について再検討を試みた.標本の採取部位は,pool smear7枚(3症例),portio擦過3枚(3症例),頚管擦過8枚(4症例),腫瘍擦過12枚(3症例)よりの採取であった.その結果,全症例に,いずれかの標本に悪性細胞を認めたが,個々の標本では,その採取部位によって,悪性細胞の出現率は異なっていた.pool,portio擦過標本では,悪性細胞の出現率は低く,殊に非上皮性細胞は殆ど見られなかった.頚管からの採取標本では,8枚中6枚(5症例中4例)に悪性細胞を認め,変性傾向も軽度であった.腫瘍擦過標本では,子宮頚部発生の1例では,悪性細胞が全標本に認められ,変性傾向も軽度であった.しかしながら,体部発生で,膣内に腫瘍が脱垂した症例では,細胞の変性傾向が強く,殆ど悪性細胞が認められない症例もみられた. 本腫瘍の細胞所見の特徴として,上皮性細胞は,比較的多く出現し,通常の癌細胞に類似するが,多核細胞が多くみられる傾向を示した.非上皮性悪性細胞では,横紋筋肉腫細胞が特徴的で鑑別し易く,大形で,類円形ヒモ状等の多彩な形態を示し,細胞辺縁は不明瞭,細胞質は顆粒状,または雲状で重厚,不均一に染色され,核の辺在が著明,核クロマチンは癌細胞に比し繊細で,大形の不整形の核小体を有していた.fibrogenicな肉腫細胞は,レース状の細胞質で,クロマチンは更に繊細,時に集簇傾向を示し,鑑別も可能であった. また,本腫瘍の診断には,細胞標本中に,複数の腫瘍成分を見出す事が原則であるが,それは,9例中5例に該当したに過ぎなかった.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-07-01

子宮中胚葉性混合腫瘍の剥離細胞診 : 治療前採取細胞診標本の再評価

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