ヒト黄体の性ステロイド生合成における顆粒膜黄体細胞と莢膜黄体細胞の機能分担
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概要
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12例のヒト開花期月経黄体と初期妊娠黄体を用いて,黄体を構成する穎粒膜黄体細胞および莢膜黄体細胞の性ステロイド生合成における機能分担を検討した.実験A:開腹術時に摘出した黄体からスライスを作成し,実体顕微鏡下に内側30%の内側スライスと外側70%の外側スライスに分割し,両スライスの等湿重量の黄体組織を用いて,^<14gt;C-pregnenolone(Preg)あるいは^<14gt;C-17-hydroxyprogesterone(17HO-Prog)を基質として37℃,3時間インキュベートし,8種の性ステロイドヘの転換をreverse dilution techniqueと再結晶法にて分析した.実験B:外側スライスの分割比を外側30%にして莢膜黄体細胞の構成比率を増やし,^<14gt;C-androstenedione(And)を基質として実験Aと同条件下にインキュベーションを行ない,estrogenへの転換を検討した.両実験に供した黄体組織は内側スライスは穎粒膜黄体細胞のみ,外側スライスは穎粒膜黄体細胞と莢膜黄体細胞より構成されていることを組織学的に確認した.^<14gt;C-Pregより両スライスともにProgを主要産生ステロイドとして,17HO-Prog,And,estrone(E_1), estradiol-17β(E_2)への転換がみとめられたが,Progへの転換率は内側スライスの方が,17HO-Prog,And,E_1,E_2への転換率は逆に外側スライスの方が有意に高かった.また^<14gt;C-17HO-Progを基質とした場合,And,E_1,E_2への転換がみられたが,その転換率は外側スライスの方が高く,とくにAndへは3倍以上も高い転換がみとめられた.一方,^<14gt;C-AndよりE_1+E_2への転換を比較すると,外側スライスより内側スライスの方が有意に高かった.以上の成績より,穎粒膜黄体細胞ではaromatase活性が,莢膜黄体細胞では17α-hydroxylase活性とC^<17gt;-C^<20gt; lyase活性が相対的に高いことが示され,ヒト黄体のestrogen産生には,穎粒膜黄体細胞と莢膜黄体細胞の機能分担が成立すると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-04-01
著者
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