子宮内膜癌および内膜増殖症に関する細胞診断学的研究
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概要
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子宮体癌の早期診断を目的に子宮内膜細胞診の有効性に関して検討した.その結果対象愚老数423例のうち子宮内膜細胞診疑陽性以上の症例は15例であり,同時に得られた組織学的所見の腺腫様増殖症6例,異型増殖症3例、子宮体癌3例は全てこの細胞診疑陽性例中に認められた.従ってfalse negativeは0であった.一方内膜細胞診による子宮体癌,異型増殖症,腺腫様増殖症各病変の特徴像を検討したところ以下の所見が得られた.子宮内膜増殖症以上の症例では腺房様配列を示す細胞群が多く認められた.病変の進行につれて核の大きさが増し大小不同が著明になつたが核クロマチソの過染性は腺腫様増殖症で最も強く認められた.核小体の数は腺腫様増殖症と異型増殖症および子宮体癌問に有意差があり,大きさと大小不同は異型増殖症と子宮体癌問に明らかな差が認められた.また子宮体癌では高率に白血球の貧食像が認められた.これらの結果から子宮内膜細胞診は子宮体癌およびその関連病変のスクリーニングに有効であるばかりでなく,これら病変の推定診断にもある程度有効であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-12-01
著者
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