加齢に伴う雌ラット臓器ならびに婦人卵巣のc-AMP
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概要
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性周期ならびに加齢に倖う(30,70,100,120週齢)雌ラットの諸臓器内3',5'-cyclic adenosine monophosphate(c-AMP)濃度の変化をみるとともに,婦人についても性機能からみた卵巣内c-AMP濃度の変化を観察した;1.雌ラットの性周期別の組織c-AMP平均濃度はproestrus,diestrus II,diestrus I,estrusの順に高いことが,とくに卵巣で著明で,視床下郡および下垂体でも同様な傾向がみられた.2.雌ラットの加齢に伴う組織c-AMP濃度は,大脳皮質や視床下部では70週齢から,卵巣では80週齢から低下がみられたが,下垂体,肝臓および副腎では100週齢から低下の傾向がみられた.3.pregnant mare serum(PMS)負荷試験に対する80週齢群の卵巣のc-AMP反応は,30週齢群に比べ組織c-AMP濃度では0.5倍,臓器c-AMP総値では0.6倍と,きわめて低下していた.4.婦人の卵巣動・静脈間の血清LHとFSH値の差異は,月経の成熟期正順(正順)群,更年期不順(不順)群や閉経後(閉経)群間で有意差はみられなかった.5.月経の正順,不順や閉経群別の卵巣のc-AMP組織濃度および臓器総値は,正順群に比べ不順群および閉経群ではいずれも低下していたが,これは,黄体やその他組織(黄体,卵胞以外の組織で,間質など)でのgnadotropin(G)に対する反応の差の様に思われた.以上の組織c-AMP濃度の結果からみて,雌ラットの下垂体機能はかなりの高週齢までよく保持されているが,卵巣の機能は,視床下部機能に比べて若干遅いが,比較的早期から低下するのが認められた.また,婦人の卵巣機能も月経不順期より黄体や間質などで機能の低下が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-02-01