反復ART不成功例に対する胚盤胞移植の臨床成績
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概要
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目的:反復ART不成功例においては,原因が胚の質にあるのが,子宮の着床条件にあるのかは,従来の方法では明らかにできなかった.本研究では胚盤胞移植(BT)を試み,原因の究明と妊娠率の向上を試みた. 方法:過去に3回以上胚移植を行っても妊娠に至らなかった204症例の患者に対して269周期のIVF,ICSI,凍結胚移植を行い,胚盤胞になるまで培養し,1個以上の胚が胚盤胞まで発育した周期でBTを実施した. 成績:228周期でBTが可能であった(キャンセル率15.2%).54周期で妊娠が確認でき(妊娠率BT当り23.7%,患者当り26.5%),すでに20例が22人の児を出産し,19例がongoing,13例が流産,2例が子宮外妊娠であった.妊娠率は40歳以上の高齢者で有意に低く(p<0.05),また反応不良例でも低がった(p<0.05). 考察:BT法にて患者当り26.5%が妊娠したことは,良好胚を移植しても子宮内では胚盤胞に発育できない症例が存在することが示唆され,一方,胚盤胞の発育が得られない症例では胚の質的不良があることが示唆された.BTで妊娠に至らない症例では,臨床的にみて子宮の着床因子の存在も含まれていることが示唆された. 結論:BT法は反復ART不成功例の原因究明に有用であり,不成功例でもその後の治療方針決定に重要な情報が得られる.妊娠率も今回適応とした症例では,従来法より高く,BT法は有効な治療法であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1999-12-01
著者
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