HeLa細胞の増殖に及ぼすsteroid hormoneと^<60>Co照射との併用効果

概要

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近年, 組織培養法の進歩に伴って単細胞を利用して放射線生物学の基礎的な解明がなされている. steroid hormoneと放射線感受性との関係については従来, 実験動物を使用して検討されていたが, 著者は子宮頚癌由来のHeLa細胞を使用してこの点を解明しようと試みた. すなわちin vitroの最も単純化した条件下でsteroid hormoneと^<60>Co照射との併用がHeLa細胞の増殖に及ぼす影響について, 細胞増殖曲線と形態学的変化の両面より比較検討した. 低濃度のestrogen の前投与によりHeLa細胞の放射線感受性が増強されたが, 後投与では効果がなかった. 高濃度のestrogen, 特にestradiol 50μg/mlの前投与では極めて著明な併用効果がみられた. progesterone, testosterone, 4cl-testosterone acetateと^<60>Co照射との併用は^<60>Co単独照射よりも大きい抑制効果があり, 併用群の中ではhormoneの前投与が後投与よりも抑制効果は大であった. しかし, cortisoneでは併用によるHeLa細胞の放射線感受性の増強は期待し難いようにみえた. 細胞増殖曲線で示される抑制効果に一致して形態学的変化の推移がみられたが, 細胞核残存率と異常細胞出現率とはほぼ逆比例して推移することが推定された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1965-02-01