冬眠カクテルの吉田肉腫異種移植に及ぼす影響に関する実験的研究
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概要
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自然冬眠は一般的にその生体内に発育する腫瘍を抑制するものであることはよく知られている事実であるが, これは異種移植腫瘍についても同様であることがPatterson等によって立証された. 著者はこの異種移植に人工冬眠がどの様に影響するかを検討するために次の実験を行った. 吉田肉腫細胞10^7個を雌雄の雑系幼弱ハムスター頬嚢粘膜下に移植した後, Cortisone単独, ChlorpromazineとPromethazineの等量混合溶液単独及び両者併用注射を施行し, 他に感染予防にstreptomycinとPenicillinを注射しながら, 腫瘤の長径, 短径, 高さ及び動物の体重を測定し, 実験動物の生存中は腹水における転移を, 腫瘍死後はこれを解剖して組織学的及び肉眼的に内臓及び淋巴腺における転移を検査し, 次の結論を得た. 即ち吉田肉腫を移植したハムスターは一定量のCortisoneで処置された場合, その多くは広範な転移をおこし, 腫瘍死をとげる. さらにこのCortisoneで処量されたハムスターに一定量の冬眠カクテルを連日注射し, 人工冬眠状態におくと転移は一層促進され, 腫瘍死はより早期におこる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-02-01