婦人***癌の^<60>Co放射線療法時におこる急性全身性皮膚発疹の実験的ならびに病理組織学的研究
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概要
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婦人***癌の放射線療法時に時折発生する全身性皮膚発疹の発生機序については未だに定説はなく, 実験的研究を試みたものもない. 著者は, 当教室で, 婦人***癌の^<60>Co放射線療法中に発生した本症患者につき, 主として血清学的方面より実験的研究を試み, 更に, 皮疹の病理組織学的検索を行い, 次の如き結果を得た. (1)発疹患者10名, 対照25名につき, 帯下ならびに被照射癌組織抽出物を抗原とする皮内反応及びPCA反応を行ったが, 対照は勿論, 発疹患者に於ても, 両反応はすべて陰性であった. (2)発疹患者7名, 対照37名につき, 音波処理法にて抽出した大腸菌(O55, O111株), 溶連菌(A群T_1株), ブドウ球菌(寺島株)の各菌体成分を抗原とする抗原感作血球凝集反応を行い, その凝集価の変動を検索した結果, 大腸菌, 溶連菌については有意の変動は認められなかったが, ブドウ球菌については, 発疹患者7名中3名に於て, 発疹極期に凝集価が対照に比べて有意に上昇する傾向が認められた. (3)皮疹の病理組織学的所見では, 病変は真皮及び表皮に認められるが, 主病変は真皮にあり, その病変は主として血管-結合織糸に見られ, 真皮では浮腫, 血管内皮細胞の腫大及び増生, 壁肥厚, 血管充盈, 拡張, 出血ならびに好酸球, リンパ球, 好中球の細胞浸潤が認められ, 1例では表皮内に限局性のMicroabscessを認めた. (4)本症の発生機序については, 被照射組織の変性分解産物の関与を全面的に否定する事は出来ないが, 本症の一部は, ***内あるいは腸内等の細菌菌体成分に起因する一種のアレルギー性反応によって惹起されるのではないかと考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-10-01
著者
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