実験的子宮頚癌発生に及ぼすEstrogen及びAndrogenの作用に関する研究
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概要
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子宮頚癌発生に及ぼすHormone環境を検討するため, 成熟した処女雌性ddN均一系マウス255匹をEstrogen群 165匹, Androgen群 90匹に分け, 各群を非去勢群, 半個去勢群, 両側去勢群に分け, これらをまた, 対照群, 発癌物質単独投与群, 発癌物質+Hormone (EstrogenまたはAndrogen) 併用投与群, Hormone単独投与群に分けた. 発癌物質投与群には, 経腟塗布法により, 0.3% 3-4 benzpyrene acetone溶液を毎日0.05CCずつ子宮頚部に塗布した. 各群について, 死亡, 及び屠殺後解剖を行い, 子宮頚部の発癌状況を, Hematoxylin Eosin染色を行って病理組織学的に研究した. また, Papanicolaou染色法による Smearの細胞学的研究により, 各群の発癌状況を比較検討し, 次の成績を樽た. 1) Estrogeh投与群 : 発癌物質単独投与群, 及び, 発癌物質+Estrogen併用投与群の両群とも, 去勢の有無に拘らず, 長期実験期間 (10週間) では両群とも発癌率に差異は認められず, ともに明確な子宮頚癌を発生し, 他臓器に浸潤, 及び転移をきたし癌死した. 短期実験期間 (5週間) では, 去勢状態は発癌作用に対し重要な促進因子となり, Estrogen投与はその促進作用を強調した. また, その作用はEstrogen大量投与より, むしろ少量投与に, より顕著であった. 2) Androgen投与群 : この群でも去勢状態は発癌作用に対し促進因子となった. Androgen投与により, 発癌状況は前癌性変化迄の過程では促進作用を示したが, 癌浸潤の過程では, むしろ抑制作用を示した. また, Androgenの投与量が多い場合にその作用は著しかった. 他方, Androgenは子宮成長に対し, 抑制的に働き, この作用は去勢によって一層強調された. Estrogen投与, 及び, Androgen投与の両群とも, 対照群, 及び, Hormone単独投与群では全く発癌は認められなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-10-01