新生児手術後水分電解質代謝に関する研究
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概要
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近年新生児に手術操作を加える機会が増加するとともに, その手術成績が次第に向上してきた。これには, 新生児の外科的疾患に対する診断, 麻酔及び手術手技の進歩などの要因の他に, 手術後の体液管理の改善が果してきた役割は大きい。個体が, 出生という内外環境の急変に直面し, 激しい適応過程にある新生児期に更に, 手術侵襲を加える新生児外科手術後代謝反応は, 病態生理の上から興味ある問題を提供すると共に, 病態生理の理解の上に手術後患児の管理を行うべき臨床上の要請からも, 極めて基本的な問題である。しかしながら, 新生児の外科的疾患は, 救命を第一とする救急手術の対象であり, 本来稀な疾患であること, 更には, 資料採取, 測定などの技術的困難も加わって, 内外共に知見に乏しく未解決の点が少なくない。新生児の外科的侵襲に関する研究は1957年Rickham以来Colle & Paulsen (1957), Wilkinson, Knutrudらを数えるにすぎず, 本邦では鈴木, 大西の報告がある。新生児の手術後に, 成人にみられる如き, Na及びClの貯溜, 水分貯溜, K及び, 窒素の排泄増加などの基本的な点で報告者間の見解は一致せず, さらに, 術後のP代謝, 水素イオン調節などについての検討は不充分である。したがって, 新生児の手術後の輸液に関しても, 経験的に行われているのが現状である。著者は, 健康新生児を対照として, 手術後の水分電解質代謝反応のpatternについて, 基礎的検討を加えたので報告する。
- 特定非営利活動法人日本小児外科学会の論文
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