排卵障害症に対するLH-RHの治療的応用とその限界
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
合成LH-RHの不妊症領域に於ける治療応用の可能性を明らかにすることを目的として,LH-RH単独投与法による排卵誘発,ならびに排卵促進,および続発性gonadotropin分泌低下症に対する賦活療法への応用の三点につき検討した. 1. 排卵誘発について:LH-RHの単独使用と臨床的実用性を主眼に(1)LH-RH 100μg 1回筋注法(2)LH-RH 100μg 1時間間隔4回筋注法(3)2時間間隔4回筋注法(4)3時間間隔4回筋注法(5)LH-RH 100μg連日10日間筋注法の5法を試みた.第(2)法に於て,無排卵周期症6例中2例,第1度無月経16例中5例で排卵が認められたが,これら全ては充分な卵胞成熟徴候を示しており,clomipheneが有効な症例であつた.他の4法では,排卵誘発効果を認めなかつた.従つて,現段階ではLH-RHによる排卵誘発は卵胞成熟のみられる症例か,薬剤により卵胞成熟をはかつた症例が適応であり,従来の排卵誘発法に比して優れた点は,排卵の時期を予測しやすいことである. 2. 排卵促進について:自然排卵を認めるも排卵遅延し,排卵日予測の困難な症例に,LH-RH 100μg筋注投与による排卵促進を試み,32例中28例で人工授精又は性交指示のタイミングの合致に成功し,5例で妊娠の成立を認めた.clomiphene有効例についても同様の促進効果を認めた.また黄体機能にも異常を来たさなかつた.以上より本法は臨床上極めて実用性の高い排卵促進法と思われる. 3. LH-RH賦活療法について:続発性第2度無月経(LH-RH test低反応)の8症例にLH-RH 100μg 1〜2週間間隔10回筋注を行い,6例にLH-RH反応性の回復,そのうち2例には第2度無月経から第1度無月経への改善を認めた.本法は下垂体前葉及び性腺の二次的萎縮を予防し,gonadotropin分泌能の回復を促す効果が期待される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-11-01
著者
関連論文
- 黄体機能よりみた着床不全 : 初期流産の研究 (初期流産管理の基礎)
- ハイパーテキストを応用したメイルシステム
- 79. 多嚢胞性卵巣(PCO)に対する楔状切除前後の血中ホルモン動態について
- 60. 多嚢胞性卵巣 (PCO) 症例の術前診断及び楔状切除適応についての再検討 -特に LH-RH Test を中心として
- 排卵障害症に対するLH-RHの治療的応用とその限界
- 93. RIA法による,正常及び異常妊娠における,血中HCS, Progesterone値について