産科領域における L-Cystine Aminopeptidase に関する研究
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概要
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妊婦血清中に増加する L-Cystine Aminopeptidase (CAP) の産科領域における臨床的意義を解明する目的で本酵素の活性値を正常および異常妊婦血清, 臍帯血清並びに胎盤組織, 羊膜について測定し, 以下の結果を得た. 1) 同一妊婦についで連続して測定するとその消長の pattern は上昇型, 下降型, 停滞型, 不安定型の4つに分類出来る. 2) 妊娠中毒症において, 軽症のものでは正常妊娠との差は認められないが, 重症例では異常高値や異常低値を示す. 3) 子宮内胎児死亡の例では異常高値や異常低値を示す. 4) 妊娠各期の胎盤単位重量当りのCAP活性には有意差は認められない. 5) 妊娠中毒症のある胎盤では, 正常のものと比較してその活性値は低値である. 6) 切迫流早産の胎盤では, 正常のものと比較してその活性値は低値である. 7) 過期産群の胎盤では, 正期産群のものと比較してその活性値は低値である. 8) 母体血清CAPと胎盤内CAP活性値の相関係数は0.41である. 9) 臍帯血清にもCAP活性値が認められるが, 母体血清のものと比較して著しく低値を示す. 10) 羊膜にもCAP活性値が認められ, 妊娠経過と共にその活性値は減少する傾向にある.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-04-01