周産期死亡における胎盤の病理組織学的検索
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
周産期死亡における胎盤係数及び胎盤の病理組織学的検索を行ない次の成績を得た. 胎盤係数: 1. 妊娠40週において正常例の平均値は0.154で, 同時期の児死亡症例の平均値は0.185であつた. 妊娠29週以後周産期死亡症例における胎盤係数は平均0.23で各週を通じて正常例より高値を示した. 2. 妊娠中毒症例, 奇形例では0.216, 0.218の高値を示し, 予定日超過例, 骨盤位及び廻旋異常例では0.180, 0.185, 0.168でほぼ正常範囲であつた. 従つて0.20以上の高値を示すものに注意する必要があると思われる. 病理組織学的検索: 1. 妊娠中毒症における周産期死亡胎盤においては Syncytial Knot (以後S.K.と略), 類線維素, 梗塞, 血管拡張が主な組織所見であつたが, S.K. を中心に他の所見が相互に関連していると考えられ, かつ又質的変化より量的変化と考えられる. 2. S.K.は長さ24μから72μのもので, 絨毛枝の外側に螺旋状に存在した. 3. 類線維素の発現量を比率 (絨毛面積に対して) としてみると臨床所見と関連性を示し, 妊娠中毒症重症型において最も顕著な発現量がみられた. 4. 予定日超過においては類線維素発現が主であり, 奇形においてはその組織所見は月数に比し Aging の幼若性を認めた. 骨盤位, 廻旋異常, その他の児死亡胎盤では正常例と時々同一所見であつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-05-01