血清及び胎盤の酵素活性並びに尿中 Estriol の胎児胎盤機能検査への応用に関する研究
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概要
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妊娠中に活性値の変動が認められている酵素としてβ-Gluculonidase (β-Gl), Lactic dehydrogenase (LDH), Leucine aminopeptidase (LAP), Heat stable alkaline phosphatase (HSAP) を選び各酵素の活性値の変動を妊娠30週から分娩終了までの母体血, 胎児娩出後の臍帯血並びに娩出胎盤組織について検討した. 同時に胎児の代謝環境を反映する指標として, 尿中エストリオール値 (E_3値と略す) を妊娠36週, 38週, 40週の3回に亘つて測定し, 各酵素との相関も検討した. 1) β-Gl, LDH, LAP, HSAP の各酵素の測定を行なつたが, LDHは非妊時に比較してほとんど変化を認めなかつた. 他の3酵素はいずれも妊娠末期における上昇が認められ, 妊娠性変化に密接な関連があると考えられる. 2) 正常分娩例の臍帯血中酵素活性値は, 正常妊娠40週の母体血清酵素値と比較して LDH のみ高値で他は低値であつた. 3) 予定日超過例の酵素活性値の推移は LDH では妊娠40週を Peak として下降傾向が見られたが, 他の3酵素は予定日以後も上昇傾向が見られた. 4) 正常群の38週の mean±3/2S.D. を38週以後1回でも越えた場合を変動型として, small far date (SFD), 仮死, 子宮内胎児死亡, 重症妊娠中毒症, 予定日超過について検討を行ない, いずれの場合も正常群に比較して変動型の頻度が大である事を認めた. 5) 妊娠38週以後のE_3値を 10mg/day を基準にして, それ未満のものを低E_3群としてその割合並びに正常群との有意差を検討して, SFD, 仮死, 子宮内胎児死亡で有意差を認めた. 6) E_3値と酵素群との関係で, 酵素群の異常は重症妊娠中毒症で代表される様に母体側の合併症を含む異常例に出現しやすく, 一方E_3値異常はSFD等に見られる様に胎児側の異常例に高頻度に認められた. 7) 胎盤組織中の酵素活性値の検討で, 胎盤内での酵素或は代謝の場の異なる事が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-04-01
著者
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