下降娩出期に関する考察
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概要
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1965年鈴村らはPartogramの詳細な分析から, 分娩時の児の予後を左右する因子として, 児の下降開始から児娩出までの持続時間を重視すべきものと考え, これを下降娩出期Stage of descentと仮称した. 今回著者はこのPartogram・子宮内測法, 及び分娩前後の児の血液ガス分析から, 下降娩出期に影響を及ぼす因子及びその有する意義について検討しfetal distressの発生には分娩第2期よりも, 下降娩出期の方が重要であるとの結論を得た. 1) 下降娩出期は, 初産婦, 経産婦共に子宮口の種々の開大度から開始している. 平均すると初産は子宮口5.0cm, 経産は5.4cm開大の時点で開始し, 児体重, 児頭大横径とは無関係である. 2) 娩出直後の児Apgar Scoreは分娩第2期の長短とは無関係であるが, 下降娩出期とは関係がある. すなわち, その延長は児の予後を悪化させるもので, これは娩出直後の臍帯血pHによつても同様の結果を得た. 3) 児娩出前10分間の子宮内圧の弱い場合, 即ち具体的には10分間の子宮内圧の強さの合計が44mmHg以下, 下降娩出期のPlanimeter値が150mmHg分以下である時は, 臍帯血pH及び胎児末梢血pHは7.20以下となる事が多く, 仮死となる可能性が増加していた. しかし, これをさらに分析すると下降娩出期が4時間以内の正常の場合には陣痛の微弱と関係なくpHが全例正常であり4時間以上の場合には陣痛微弱に関係なくpHが下る事が明らかとなり, 胎児末梢血pHには陣痛の強弱には関係なく下降娩出期の長短が関係すると推論した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-10-01
著者
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