胎盤内Estrogenに関する臨床的研究
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概要
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今日, 胎児-胎盤系機能判定の一指標として妊婦尿中 estriol (ET) の測定が行なわれているが, この臨床的意義を裏付ける目的で胎盤内 estrogens (ES) 3分画の測定を行ない, 臨床的検討を行なった. (1) 胎盤内ESの測定はエタノールにてES抽出, 除蛋白, 脱脂肪を行なった後, Brown A法に従った. (2) 胎盤を4℃にて24時間放置すると estrone (EO) の増加, estradiol (ED) の減少が認められたが, ETはほぼ同一値を示した. (3) 正常胎盤100g中のES量は平均EO4.8±2.4μg, ED13.2±4.0μg, ET34.9±8.8μgであり, ET/EO+ED比は2.2±0.9であった. (4) 児の性別によるES量の差は認められなかった. (5) 胎盤全体に含まれるET量は胎盤重量, 児体重と比例して増加を示したが, EO+ED量は一定の関係は見い出せなかった. (6) 妊娠中毒症, 新生児仮死, 流・早産などの胎盤では100g当りETはそれぞれ20.0±14.4μg, 9.4±3.2μg, 12.5±3.6μgと低値を示したが, EOおよびEDは正常値であった. (7) 予定日超過例ではES3分画は一般に正常値を示す場合が多かった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-03-01
著者
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