オートラジオグラフィーによる視床下部下垂体性腺系の成熟過程に関する研究
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概要
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雌性性機能を調節する視床下部・下垂体・性腺系の成熟過程をラットを用いて形態及び機能両面より追求し, 以下の成績を得た. 1)オートラジオグラフィー法により^3H-thymidineの細胞内uptakeを検討した. 卵巣の卵胞上皮及び子宮の筋細胞は生直後盛んな分裂を行つているが, 日令が進むと急激に低下した. 下垂体の細胞は胎生期には旺盛な分裂を行なうが, 分裂率は生直後急速に低下し, 成熟期に向つてゆるやかな減少を示した. 視床下部の細胞は胎生期には可成り盛んな分裂をし, 生直後は極度に低下するが, なお下垂体のそれに比較すると分裂率は可成り低かつた. 2)視床下部・下垂体系の機能の成熟過程を検討すべく, ラットを幼若各期に去勢し, 去勢細胞の出現及びPAS陽性細胞への^3H-leucineのとりこみをオートラジオグラフィー法によつて対照と比較した. 日令2週以後のラットでは去勢細胞が出現し, PAS陽性細胞へのleucineのとりこみは増加するが, 2週以前のラットではかゝる現象は認められなかつた. 3)また去勢幼若ラットの視床下部神経核の^3H-leucineのとりこみを検討したところ, 下垂体と同様に生後2週以後のラットでは, 去勢により視束前野・腹内側核・弓状核へのとりこみが増加した. しかし2週以前のラットでは増加は認められなかつた. これらの結果から, 視床下部・下垂体系の機能の成熟は生後2週前後に起るものと思われる. また視束前野・腹内側核・弓状核は下垂体の機能の調節に関与する視床下部神経核であることが示唆される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-05-01
著者
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