性染色質, 多核白血球 drumstick の検討および精薄施設収容児に対する細胞遺伝学的検索

概要

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口腔粘膜細胞の性染色質出現率および多核白血球 drumstick 出現率について検討を試み, ついで新潟県下5個所の薄弱施設に細胞遺伝学的検索, すなわち口腔粘膜細胞の性染色質ならびに末梢静脈血白血球培養による染色体分析を行ない以下の結果をえた. 健康男女の性染色質出現率は, 男性 0.8±0.96%, 女性 25.2±3.49%であり, 新生児の生後日数および月経周期により変化を示すが, 母体の産褥日数, 健康男女の年令的変化, Down症候群患者では変化を認めなかった. 多核白血球 drumstick出現率は, 健康女性に 4.4±1.74%であり, 月経周期により変化した. 多核白血球 D/N比は2.86±0.22%であった. 新潟県下精薄施設収容児321例に性染色質検査を行ない, 4例 (1.25%) に異常を認めた. また55例 (16.8%) に染色体分析を行ない, X0 2例, XXY 2例, XYY1例, Y異常 1例, 21-trisomy 28例, 合計34例 (10.6%) に染色体異常を認めた. 精薄患者の性染色質 screening による成績は報告されており, 著者の成績と大差ない. しかし, 著者のこの成績はその他に従来殆んど報告されていない多数の精薄患者の染色体分析を行ない, 染色体異常にもとづく精薄児が高率に存在することを証明した.
1968-02-01