性異常およびDown症候群症例に対する染色体検索
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概要
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特定の疾患や症状を対象とした染色体検索に関する報告は数多くある. しかし, 多種類の自験例を比較対照して発表した報告はない. 著者は, 昭和40年9月より昭和42年1月迄新潟大学医学部産科婦人科教室にて, 末梢静脈血白血球の染色体分析を施行した115例について以下の成績を得た. 1. 染色体分析を施行し得た115例の染色体像は, XX33例, XY22例, XO 6例, XO/XX 2例, XXYS例, XYY 1例, Y異常 2例, XX/XY 1例, 21-trisomy 43例, 21/G転座 2例であった. 2. 性染色体構成XO型6例, XO/XX型 1例合計7例の Turner症候群および3例の性染色体構成XXY型 Klinefelter 症候群を経験した. Turner症候群の臨床症状として, 翼状頚, 外反時, 楯状胸は必発の所見でないことを知った. 他に従来報告のない歯列の異常, 視野狭窄を認めたことは今後検討する必要がある. 3. その他性異常症例として, Pure gonadal dysgenesis 2例 (性染色体構成XX, XO/XX), 女性半陰陽 2例 (性染色体構成XX), 男性半陰陽 1例 (Y染色体異常), 真性半陰陽 1例 (性染色体構成XX/XY), および男性半陰陽が疑われる1例 (性染色体構成XY) を経験した. 4. 原発性無月経患者17例中6例 (35%) に性染色体異常を発見した. これは文献上佐藤の報告は別として, Jacobs, Philipの報告に一致し, 本症患者に高率に染色体異常の存在することを証明した. 5. 短射を認めた症例19例中7例にTurner症候群が存在した. 6. 男性性異常症例19例中6例に性染色体異常を認めた. 7. 染色体分析を行なったDown症候群45例について報告した. 染色体構成は21-trisomy型43例, 21/G転座2例であった. さらに出生時両親の年令について検討したが, 従来の報告にほゞ一致した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-01-01
著者
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