オートラジオグラフィーによる下垂体前葉ゴナドトロピン分泌の中枢性調節機序に関する研究
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概要
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著者は成熟雌ラットを用いオートラジオグラフィーを応用して, 下垂体前葉の^3H-leucineの取込みを指標として, 種々の実験条件下における前葉のゴナドトロピン産生能の変化を特に視床下部との関係に於て解明しようと試みた. その結果次のことが明らかとなった. 1) 成熟雌ラット下垂体前葉ゴナドトロフへの^3H-leucine取込みは, 去勢によって促進された. しかし, この増加はエストロゲンによって抑制された. 2) 妊娠, 産褥ラット前葉のゴナドトロフの^3H-leucine取込みは正常ラットに比して低下した. 3) 成熟雌ラット下垂体前葉をin vitroで培養することにより視床下部から完全に遮断すると, PAS陽性細胞の^3H-leucine取込みは著しく低下した. このことから, ゴナドトロピン産生の低下又は停止が示唆された. 4) 視床下部粗抽出物を添加培養すると下垂体前葉PAS陽性細胞の^3H-leucineの取込みは増加し, しかもその増加は抽出物添加量と正の相関のあることがわかった. この結果, 視床下部粗抽出物の中には, 下垂体前葉に直接働いて, ゴナドトロピン産生を促進する物質が存在することが示唆された. 5) 視床下部粗抽出物の^3H-leucine取込み促進効果は, puromycineおよびactinomycin Dによって抑制された. このことから, 視床下部粗抽出物の作用は, 本質的にはDNAからメッセンジャーRNAへの遺伝情報伝達機構によって支配されていることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-12-01
著者
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