子宮項癌に於ける骨盤リンパ系造影法の研究
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概要
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昭和37年7月より, 昭和40年12月迄に岡山大学産科婦人科教室にて治療した134例の子宮癌患者 (子宮頚癌 112例, 体癌 1例, 再発例 21例) に対して直接リンパ系造影法を施行した. 研究内容は骨盤内リンパ節癌転移の判定基準の検討, リンパ節癌浸潤度とリンパ節の読影所見との関連, 適中度, 手術時リンパ節遺残の問題, 再発例の検討等である. まずリンパ節癌転移の有無を推定する上に信頼し得る所見はリンパ節の陰影欠損, 腫大, 副行技の増生等所謂閉鎖性所見である. 読影所見は転移リンパ節に於ける癌の拡がりによって著しく影響を受ける. 私の判定基準に基づいて読影した場合のリンパ節癌転移の適中度はcorrect positive 78.9%であった. しかし, false negativeが15.6%にみられたが, この事は早期癌に於けるリンパ系造影法の有用性に限界がある事を示している. 手術時のリンパ節遺残は意外に多く, 特に, 癌転移陽性例にやゝ取り残し易い傾向がみられる. しかし遺残リンパ節の殆んどは小さいものであり, リンパ節癌転移陽性ではこの点, 強力な術後照射の併用が望まれる. リンパ節廓清の先行, 後行の問題はリンパ節遺残の点からみた場合, 優劣は認められなかった. Colorlymphographyの有用性はリンパ節遺残の点から見た場合, 否定される成績を得た. リンパ節遺残と予後との関係を2年内再発癌死亡率で検討したが, 現在の段階では明確な相関は得られなかった. 再発の検索方法としては, 特に初回放射療法を行なった症例に於ては, 有力な診断法であるが, 手術例では無効な場合が多い. 今後, リンパ系造影法は主として放射療法例に於ける治療手段, 効果, 予後の追求という諸点から広く行なわれるべき方法と考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-11-01
著者
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