子宮頚癌に於ける抗癌剤直接リンパ管内注入法の意義に関する研究
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概要
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子宮頚癌の骨盤内リンパ節転移をいかに診断し, いかに治療するかは極めて重要な問題である. その1つの方法としてリンパ管内抗癌剤注入法が臨床で使用し得るかどうかを二種のlabelされた抗癌剤を用いて検討した. まず5例について^<32>P Tespamine 20mg (1440μc)を下肢のリンパ管内に注入し, 6例について同量を臀筋内に投与し, 投与後の血中, 尿中量の推移を検討した. 又注入後3時間目と20時間目に骨盤内リンパ節を剔出し, 湿性灰化法により灰化し, 各リンパ節内の^<32>P量をGM counterで測定し, リンパ管内注入法と臀筋内注入法との比較を行なった. その結果, ^<32>P Tespamineはリンパ管内に注入しても速かに骨盤リンパ系を通り抜け血中に入る. 剔出リンパ節の^<32>P Tespamineは臀筋内投与例よりはやゝ多かったが, 量としては予想外に少なかった. 次に4例について, <203>Hg Merphyrin 30μcを下肢リンパ管内に直接注入し, 3時間後, 6時間後に各リンパ節を剔出して, その中の<203>Hg量を Scintillation counterで測定した. 又同様に血中, 尿中の<203>Hg量の推移を検索した. 1例についてはTemporal scanningを行ない, 1例については部位別count数の時間的変動を検索した. その結果, <203>Hg Merphyrinは ^<32>P Tespamineに比べると比較的よく骨盤内リンパ節に留るがしかし量としては微量である. 子宮頚癌の骨盤内リンパ節転移に対し, 他に有効な治療方法がある現在, 抗癌剤のリンパ管内注入法の臨床応用は殆んど意味のない事を明らかにした.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-10-01
著者
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