子宮頚部の上皮内癌及び初期浸潤癌に関する臨床病理学的研究
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概要
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上皮内癌及び微小癌(浸潤度3mm以内)について臨床病理学的観察を行ない, さらにこれら病変相互の関連性を検討するとともに, 組織発生的立場からも考察を加え, 次の如き結果が得られた. 1)患者の平均年令は上皮内癌43.7才, 上皮内癌(疑浸潤)44.4才, Ia期45.6才であつた. 2)不正出血を訴えた患者は上皮内癌48.3%, 疑浸潤47.8%, Ia期64.9%であり, 無症状はそれぞれ43.3%, 43.5%及び21.1%であった. 3)組織分類では未分化型が最も多く, 特に上皮内癌では73.1%を占めていた. 4)Alcian-blue陽性のものは5.8%, PAS陽性43.0%であつた. 5)病巣の占居部位は円柱上皮域に限局するものが上皮内癌88.5%, 疑浸潤82.6%, 微小癌57.7%にみられた. 6)病巣の分布は上皮内癌より微小癌と病変の進行につれて, 環状, 縦軸, 深さにおける広がりがともに増していた. 7)隣接上皮との関係から, SMC(48.5%), EMC(12.9%), SMD(5.9%), DMC(19.8%), DMD(5.9%), CMC(6.9%)の6型に分類された. 8)扁平上皮との境界は上皮内癌1例を除き, 少なくともいずれかの部で側方侵入像がみられ, 基底膜に沿う下層侵入型が多かった. 9)Dysplasiaとは病巣外端で接するものが内端よりも多く, 特にreserve cell dysplasiaとは等層的に移行していた. 10)上皮内癌のbulky outgrowthは外頚部側に生じる傾向が強かつた. 11)間質浸潤は腺侵入部より開始する場合が多く, しかも43.1%は病巣外端より1mm以内でみられ, 肥大性あるいは延伸性浸潤が普通で, 蔟出性浸潤は少なかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-01-01
著者
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