臨床所見と対比したヒト子宮筋 Myosin B-ATPase活性について
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概要
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ヒト子宮体部および頚部より抽出した Myosin B-ATPase の非妊時, 妊娠時, 分娩時および実験的諸条件 (性 steroid hormones の投与)下における酵素活性度を検討した. 更に Myosin B-ATPase 活性度に対する Ca^<++>, Mg^<++>, Cu^<++> の影響を比較検討した. 1) ヒト子宮体部および頚部より抽出した Myosin B-ATPase 活性は, 非妊時, 妊娠時, 分娩時のいづれの場合においても, 子宮体部の活性が頚部の活性に比しかなり高値を示した. 2) estradiol は卵胞期に大量を投与した場合, 体部では Myosin B-ATPase 活性はかなり抑制され, 頚部においては ATPase 活性の上昇を示した. また少量投与した場合, 体部, 頚部とも活性度高値を示した. 3) estriol は卵胞期に大量投与した場合, 体部では Myosin B-ATPase 活性高値を示し, 頚部においても上昇の傾向を認めた. 少量投与では, 体部において Myosin B-ATPase 不変, 頚部で低値を示した. 4) progesterone は黄体期に大量投与すると Myosin B-ATPase 活性は, 体部, 頚部とも低下を示した. 少量投与では, 体部で不変, 頚部で低下の傾向を示した. また妊娠時大量投与により体部, 頚部とも Myosin B-ATPase 活性は低値を示したが, 特に体部における活性が頚部に比しより強く抑制された. 5) 妊娠末期の陣痛発来時と未発来時のヒト子宮体部と頚部における Myosin B-ATPase 活性は陣痛発来時の場合が高値を示し, とくに体部において著しかった. 6) Myosin B-ATPase 活性に対する Ca^<++>, Mg^<++>, Cu^<++>の影響実験では, Ca^<++>, Mg^<++>は活性を賦活し, Cu^<++>は阻害した. 7) ヒト子宮筋 Actomyosin もラット子宮筋 Actomyosin も本質的には差がないことがわかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-07-01
著者
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