妊娠晩期中毒症の本態に関する免疫学的, 特に補体学的研究
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概要
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妊娠晩期中毒症の原因に関しては, これまで多くの研究がなされてきたが, 未だ決定的な結論を見るに至つてない. 本症の本態を免疫学的に解明しようとする研究も多数発表されている. 中でも加来は多くの実験を積み重ねて, 胎盤多糖体様物質(KPS)を抗原とするアレルギー性疾患であると結論したことは周知の如くである. 一方近年の補体学の発展は目ざましく, 多くの新知見が導入され, 抗原抗体系に参与する補体の反応機序の研究は益々活発となつてきた. 従つて著者は, 中毒症の本態をアレルギーで説明しようとする加来及び共同研究者の研究に, 更に新しい補体学を導入しようとして諸実験を行ない, 以下の如き成績を得た. 即ち, 1)中毒症患者の血清補体価をMayerの50%溶血法で測定したが, 本症患者では正常妊婦のそれに比べて, 補体価は妊娠末期および分娩直後では低値で, 産褥時では急昇しかつ大きな変動を示した. この成績は, 中毒症に免疫現象が関与していることを示唆するものと考えられる. 2)ヒト胎盤絨毛細胞が抗原性を有し, ヒト胎盤KPSとの間に共通抗原を持つことをも, 次の実験で証明した. 即ち, 抗ヒト胎盤KPS家兎免疫血清を作製し, これと満期産胎盤から分離したヒト絨毛細胞とを用いImmune Adherence (IAと略)反応を行なつて, 陽性の所見を得た. またこのIA反応は鳥巣らのC_3 Inactivatorにより阻止されること, 更に抗ヒト胎盤KPS家兎免疫血清をKPSおよびヒト胎盤絨毛細胞で吸収すると陰性化すること等を確認した. 更に3)中毒症患者血清中に胎盤絨毛細胞に対する自己抗体が存在することを, 竹内らの方法に準じたIA法で証明し得た. 4)高橋や竹内らの螢光標識補体第一成分法およびIA法で, 中毒症患者腎組織における免疫反応の局在性を検討した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-10-01
著者
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