子宮頸癌に於ける術前照射法の研究
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概要
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岡大婦人科にて岡林式広汎手術を受けた子宮頚癌患者124名を研究の対象として,子宮頚癌術前照射法(照射量テレコバルト2,000R, 3,000R)の検討を行なつた.主な検索内容は術前照射による全身への影響,原発巣への効果,手術及び術後に関する問題,転移リンパ節への効果及び1年予後等である.その結果特に問題となるのは次の諸点であつた.(1)全身的影響の内では下痢の増加,白血球(特にリンパ球)の減少及び血清総蛋白量の減少が認められたが,この為に手術不能になつた症例はなかつた.(2)原発巣の所見は改善され,組織学的にもかなりの効果を認めた.(3)手術操作は幾分困難となつたが,手術時間及び出血量に変化を認めず,重症術後合併症の増加も認めなかつた.(4)転移リンパ節には組織学的に特に3,000R照射例でかなりの効果を認めたが,リンパ節転移率の減少は認められなかつた.(5)予後に及ぼす影響については1年以内再発及び癌死率を非術前照射群179例と比較し,好転の傾向がみられた. これらの結果に基づき,子宮頚癌治療に於ける術前照射の意義と方法について考察し,比較的小線量(2,000R〜3,000R)を全例に行なう術前照射法が子宮頚癌に於ては適当ではないかという結論を得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-06-01
著者
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