新生児尿中3-Methoxy-4-hydroxymandelic Acid (Vanillylmandelic Acid)について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
新生児期は妊娠時および分娩時の影響から脱して,外界へ適応して行く時期である。この様な状態におかれている新生児の副腎髄質系の変化については,業績も少く近年になってCatecholamineに関しArmstrongをはじめいくつかの報告がみられるようになった.またCatecholamineの代謝について1957年Greenbergらによってその終末代謝産物である3-Methoxy-4-hydroxymandelic Acid (Vanillylmandelic Acid,VMA,)が尿中に検出された.すなわちVMAはAdrenaline,Noradrenalineの主要代謝産物であり,尿中に比較的大量に排泄され,また安定した物質であり,これを測定することによって体内のCatecholamineの動態を知ることが出来る.また一方において,分娩の際の児の障害などについて最近いろいろと議論が多いが,出生時に児がどのくらいのstressを受けたかを知る適当な方法は未だに見当らない.そこで筆者は新生児期のCatecholamineの動態を知る目的でArmstrongの二次元paperchromatograph法を用い,新生児尿中VMA排泄量を測定し,その新生児学的意義について次の如き結論を得た. 1)出生直後の新生児尿中にはVMAを殆んど証明し得なかった. 2)生後10日目以内の正常新生児の尿中VMA排泄量は出生当日をのぞき,生後日数による差は特に認められず,平均7.46±1.73γ/mgCr.であった.これより新生児の尿中VMA排泄量は,5〜10γ/mgCr.をもって正常範囲とし,それ以上は過剰反応状態,またそれ以下は反応不全状態とした. 3)生後12時間における新生児尿中VMA値の高い事は分娩などのstressに反応し得ることを示している. 4)生下時体重2,OOOg未満の未熟児2例は,いずれも50γ/mgCr.前後のかなり高い値を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-05-01