新生児哺育環境に関する研究 : 特に環境温度,湿度の変化による水出納,直腸温等への影響について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
新生児の哺育のためには,この時期が胎生期より体外生活への移行期であるという特異意義を常に考慮しなければならない.我々はこのような観点から新生児の哺育環境を検討しつゝあるが,今回は環境の温度ならびに湿度が児の不感蒸泄をも含めた水出納,及び直腸温へいかなる影響を及ぼすかを研究した.すなわち,恒温恒湿室に設置した直視式自動人体天秤を用いて新生児を種々の温度,湿度の組合せ環境にて哺育し,その逐時的体重測定を行うことにより不感蒸泄量を算出し,尿量の測定と相まち,一方哺乳量を厳密にして水出納量を求め,更に同時に直腸温を測定した. その結果は次の通りである.(1)不感蒸泄量は温度が低くなるほど,また湿度が高くなるほど小となる傾向が強いが,尿量には著差がない.(2)不感蒸泄量の時間的推移は21〜22℃の温度では湿度の大小にかゝわらず比較的安定している.(3)直腸温は高温(31〜32℃),或いは低温(18〜19℃)環境では明らかに外界温度で影響されるが,温度21〜26℃ではよく安定した平衡状態を保つ.(4)水出納の動きは低温高湿燥境では脱水の起るのを防いでいる如き傾向を示した.(5)以上の事実は,澤崎一派の行いつゝある他の実験成績と総合して,新生児哺育環境としては従来考えられていたよりは低温高湿環境がのぞましいことを示している.
- 1967-03-01
著者
関連論文
- 75. 未熟児の水出納 : 特に蛋白同化ホルモン剤投与による影響
- 講59. 未熟児哺育におよぼす環境温度並びに湿度の影響
- 184. 新生児哺育環境に関する研究 : 特に環境温度,湿度の変化による水出納,直腸温等への影響
- 新生児哺育環境に関する研究 : 特に環境温度,湿度の変化による水出納,直腸温等への影響について