人子宮平滑筋細胞の電子顕微鏡的研究
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概要
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著者は正常成熟婦人非妊娠時子宮筋・妊娠初期・中期・満期分娩後・産褥10日目・分娩後弛緩出血にて全く収縮の認め得なかつた子宮,以上の子宮平滑筋細胞の電子顕微鏡的観察を行なつた. 1) 正常成熟婦人子宮平滑筋細胞は紡錘形を呈し各細胞は完全に細胞膜にて被われ細胞相互間の細胞質連絡は認められない.核は長楕円形をなし,核質は一般に均一であるが時に核膜近くに凝集の傾向を示す.核の周囲,特に核の両端の円錘状をなす細胞質基質中には細胞有形形質の散在をみ,その周囲にはほゞ細胞の長軸にそつてmyofilament群が走りその走行中にはmyofilamentの侵入附着せる電子密度の高い長桿状の結節が散在する. 2) 妊娠期の進むにつれて筋細胞は増大し,特にその縦径は10数倍以上に達すると推定され,横径の増大は3〜4倍になり,これが筋束間隙の浮腫状拡大と共に子宮増大の主因子をなすと考える.核の増大はさほど著明ではない.Myofilament群は強力となり細胞質基質とは明確な境界をなして縦走し,長桿状の結節も又大きさを増し,密に存在する.多数のpinocytotic vesicleを並列する細胞質突起が著明である.筋細胞新生は観察出来なかつた. 3) 弛緩出血子宮筋細胞のmyofilament群は弱体となり細胞質基質との境も不鮮明であり,長桿状結節もその大きさ,又数を減じている.細胞質突起は少く,細胞膜周辺のvesicleも減少している. 4) 産褥10日目子宮筋細胞のmyofilament群は細胞の一側に渦巻状に偏在し他方へ細胞質基質,核を圧排し,筋細胞は縮小し胞体は一見おたまじやくし様になる.細胞有形形質は減少し,長桿状結節は縮小不鮮明となる.細胞中に脂肪顆粒の存在はみられなかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-03-01
著者
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