胎盤に於ける17β-Hydroxysteroid dehydrogenase
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概要
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17β-hydroxysteroid dehydrogenase(以下17β-D.H.ase.と略す)はsteroid代謝上重要な酵素の一つであり,種々の組織に存在している.著者は基質にtestosterone-4-^<14>C (Testo.-4-^<14>C)及びestradiol-16-^<14>C (Ed.-16-^<14>C)を用い,種々の胎盤,胞状奇胎,絨毛上皮腫に於ける17β-D.H.ase.活性の比較を行い,又正常胎盤に於ける本酵素の性質を検討した. 正常胎盤,中毒症胎盤では差がなく同程度に強い17β-D.H.ase.活性が認められた.子宮内胎児死亡胎盤及び胞状奇胎では17β-D.H.ase.活性は低く正常胎盤の約40〜70%を示した.絨毛上皮腫ではさらに活性が低下して,正常胎盤の5〜30%であつたが,基質にTesto.-4-^<14>Cを用いた場合にはchorioadenomaとchoriocarcinomaとで違つたTesto.代謝が認められた. 17β-D.H.ase.活性の細胞内分布は従来報告されている105,000×g supernatantの他に7,000〜50,000×gの分画中にも認められたが,この分画に於ける活性は満期胎盤よりも中期胎盤の方が強かつた.supernatantに於いてTesto.-4-^<14>CはEd.-16-^<14>Cの13%しか脱水素反応を受けなかつたが,7,000〜50,000×gの分画に於いては両基質とも同程度の脱水素反応を受けた. 17β-D.H.ase.は水素受容体としてNAD或いはNADPを必要としたがNADの方がより有効であつた.最適PHは7.4〜7.8にあり,Hg^〓,Cu^〓,Zn^〓,Fe^〓の10-^4Mで抑制されたがCN-の10-^4Mでは抑制されなかつた.又副腎の11β-hydroxylationの抑制剤であるSU-4885によつて抑制された. Testo.の脱水素反応はestrogenの影響を受けた.即ちestradiolの10-^4Mで抑制されestroneの10-^4Mで促進された.又合成estrogenのstilbestol diphosphate, hexestrol diphosphateの10-^4Mによつても抑制された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-02-01
著者
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