肺未熟性の治療法に関する研究
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概要
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肺未熟性は新生児生存に大きな障害となっている. 従って未熟状態の胎児肺を母体への薬剤投与にようて発育成熟化させ得る. ならば, 肺不全による新生児死亡を防止することも可能となる. 著者はこの観点になってdd系妊娠マウスを用いて肺成熟化の可否を追求した. 母獣に投与した薬剤の胎仔肺に対する効果を判定するには正常な胎仔肺発育過程のパターンが必要なので, 次の如き5種のパターンを組織計測学的に作成した. (1) EC/US (単位面積当り肺胞腔露出毛細血管数, (2)ACL (肺胞腔辺緑長), (3) EC/Al (1肺胞当り肺胞腔露出毛細血管数), (4) EC/ACL (単位肺胞腔辺縁長当り肺胞腔露出毛細血管数, (5) ACR (肺胞腔比体積). これらのパターンのうちEC/ACLとACRが組織所見を最も適確に表現したので, この両者に対し推計学的に有意差を認めた母体投与の薬剤な胎仔肺発育促進作用ありと判定した. 投与薬剤は次の19種である. (1) 必須アミノ酸剤 (EAA), (2) EAA+ATP, (3) ATP, (4) flavin adenine dinucleotide (FAD), (5) FAD+cocarboxylase, (6) pyridoxal phosphate (PP), (7) hydroxycobalamin (HC), (8) FAD+PP+HC, (9) FAD+PP+HC+EAA, (10) FAD+PP+HC+ATP, (11) FAD+PP+HC+EAA+ATP, (12) cortisone, (13) hydrocortisone, (14) predonisolone, (15) 脳下垂体前葉成長ホルモン, (16) anabolic steroid, (17) orotic acid, (18) estradiol, (19) vitamin E. これらの薬剤のなかでEC/ACL, ACRともに対照群に5%の危険率で推計学的に有意差を認めたものはcortisone, hydrocortisone, predonisoloneの副腎皮質ホルモンとFAD+PP+HC+ATPのグループであった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-12-01