妊娠と糖尿

概要

論文の詳細を見る
妊娠時の糖質代謝について検索するため, まず妊婦に Glucose Tolerance Test (G.T.T.), Cortisone Glucose Tolerance Test (C.G.T.T.) を行なったところ, 一般に妊婦においては空腹時血糖は妊娠後期に低く, 耐糖能は軽度障害されておりこれら耐糖能異常群のうちいわゆる糖尿病群においては妊娠中毒症の発生, 巨大児を分娩する率等が高いが, その他の異常群すなわち疑糖尿病群, C.G.T.T.異常群は産科異常の合併する率が低いため治療の対象としてはあまり適当ではない. しかしこれらの群からも産褥期に一旦正常になった後経年観察上比較的早期にふたゝび糖代謝異常のあらわれることがわかった. したがって将来の糖尿病発症を早期に予知することができるであろうという点で大きな意義をもつことがわかった. またこのような妊娠時のdiabetogenic factorを検討するためにその1つと考えられているcorticosteroidsについて検索し, diabeto-genicfactorとして重要な役割を演じていることを推論しうる知見をえた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1967-12-01