人体のestrogen生産量について
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概要
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人体の生理的状態に於て,estrogenの1日生産量を知ることは重要なことである.古くから非放射性のステロイドを注射してそのステロイドの代謝産物の尿中排泄量の測定を行ない,それより生産量を求めることが報告されている.最近放射性同位元素の使用により,より正確に求められるようになつた.放射能を用いて生産量を計算する方法はFishman, Lieberman, Morse, Goeringらにより,isotope dilution methodで行なわれた.Gallagher, Lieberman, Taitらはステロイドの分泌量を数学的に計算した. ここではestrone estradiolの相互変換を考慮して,正常成熟婦人の一周期のestrone, estradiolの尿中排泄量測定及び,estrone, estradiolの生体内代謝率測定より,estrogenの生産量を求めた. 卵巣摘除婦人3例にestradiol-6,7-H^3を静注し,尿中のestrone, estradiol, estriolの生体代謝率をみた.即ち各々4.7, 3.7, 10.3%であつた.同様にestrone-6,7-H^3静注したものでは4.0, 3.0, 9.0%であつた.又この値を確かめる目的で同一人にestradiol-4-C^<14>とestrone-6,7-H^3を同時に注射したとき,尿中に排泄されるestrone, estradiol, estriolはH^3は各々3.5, 3.0, 9.0%であり,C^<14>は各々4.8, 4.0, 9.7%となり,前の実験の値と大体一致することがわかつた.上記のestrogenの代謝率と正常成熟婦人の尿中estrogenをisotope dilution methodで測つたものから,estrogenの生産量を求める式をたてて正常成熟婦人の一周期におけるestradiolとestroneの生産量を計算した.正常成熟丹人の月経期,卵胞期のestrone, estradiolの生産量は各々23〜77μg 19〜121μg,であり,排卵期,黄体期では20〜150μg, 26〜201μgとなつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-11-01
著者
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