放射性同位元素を用いたestrogen測定法について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
尿中estrogenの測定についてはestrogenが特異な呈色反応を示すことが見出されて以来古くから化学定量がなされている.しかしestrogenが微量であるとき,呈色液は尿の不純物により影響されやすいため,これを取除かねばならない.Ittrich, Salakangas, Bradshawの方法はこの呈色液よりestrogen呈色のみを抽出するもので特性をますことができる. 最近C^<14>又はH^3にて標識されたsteroid hormoneが合成され,臨床的に応用されるようになり,steroid hormoneの測定が正確に行なえるようになつた. こゝでは尿中estrogenをIttrichの方法に3つの操作を加えて不純物を取り除き,更に放射性同位元素の使用により従来に比して正確な値を得ることができた.不純物を除くために加えた3つの操作とはsilicagel columnによりChromatographyとSaponificationとalumina columnによるchromatographyである.estrogenの分画はBush systemのpaperchromatographyを用いた.このsystemにおけるRf値はBush B_1ではestrone, estradiol, estriolは各々0.77, 0.43, 0.02であり,Buch Cでは0.90, 0.87, 0.27であつた.estrogen colorのp-nitrophenol-chloroform抽出液では537mμ, 517mμ, 557mμの吸収度をみればよい.この方法の回収率はestrone, estradiol, estriolで44.8±3.4%, 58.8±5.9%、 30.1±1.5%であり,再現性試験では,6.3±0.34μg/day, 5.8±0.60μg/day, 9.8±0.48μg/dayで誤差は少なかつた.放射能の測定はTri Carb loquid scintillation spectrometerで行なつた.scintillatorはPPO (2,5-Diphenyloxazole)とDimethl POPOP 〔1,4-bis-2 (1,4-methyl-5-phenyl-oxazole) benzene〕のtoluene溶液である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-10-01
著者
関連論文
- 119. Clomiphene citrate 及びHMGによる排卵誘発
- 人体のestrogen生産量について
- 放射性同位元素を用いたestrogen測定法について
- 71. 人体のestrogen産出量について