性ホルモン投与による子宮筋腫患者の尿中ホルモン排泄値の変動
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概要
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著者は前報において, 子宮筋腫患者の尿中ホルモン排泄量を測定した. その結果は, 尿中下垂体性Gonadotropinは対照健康成熟婦人に比べ有意に高く排泄され, 17-KS分画量では筋腫群の副腎系Androgenの排泄優位を知つたが, Estrogen対Androgen Balanceでは対照群との間に有意差は認められなかつた. 著者はこの内分泌環境は生体防衛反応の一つの反応像と考えたので, 筋腫患者に各種性ホルモンを投与し尿中ホルモン排泄量の変動を対照群のそれと比較した. 投与ホルモンはTestosterone propionate (T.P.) 100mg, Estradiol Benzoate (E.B.) 4mg, Progesterone (P.) 100mg, 妊馬血清性のGonadotropinであるSerotropin 4,000国際単位を投与した. 測定した尿中ホルモン量は尿中下垂体性Gonadotropin (G), 尿中Estrogen (E), 尿中17-Hydroxycorticosteroids (17-OHCS), 尿中中性17-Ketosteroids (17-KS)総量及び分画値である尿中排泄量の変動を要約すると, 1) T.P.投与後Gの対照例は1日目に増加し2日目は旧値に復したのに対し筋腫例は2日目は更に増量した. Eは対照, 筋腫例共に1日目に減少した. 17-OHCSの対照例は減少し, 筋腫例は増加した. 17-KS量では総量及び分画でIV, V分画が増加したが, 筋腫例はIII分画の増加以外余り変動しなかつた. 2) E.B.投与後, Gの対照例は減少し, 筋腫例は増加した. Eの対照例は1日目にのみ増加したが筋種例は1日目減少し2日目には反撥的に増加した. 17-OHCSは両者共増加傾向だつた. 17-KSは総量は筋腫, 対照例共変動はなく, 分画ではIII分画は対照例で減少し, 筋腫例は増加し, 又対照例のIV, V分画が増加したのに対し筋腫例はIV分画のみ増加した. 3) P.投与後, Gは対照例で増加し, 筋腫例は減少傾向だつた. Eは対照, 筋腫例共増加した. 17-OHCSは余り変動しなかつた. 17-KS総量は増加したが, 分画では対照例で増加したVI+VII分画が筋腫例で増加しなかつた. 4) Serotropin投与後, Gは筋腫, 対照例共増加したが, 筋腫例の増加は少かつた. Eは筋腫, 対照例共変動しなかつた. 17-OHCSは対照例は余り変動なく, 筋腫例は減少した. 17-KS量は対照例は2日目に減少し, , 筋腫例は増加した. 分画は対照例はIII分画が減少し, IV分画は増加し, 筋腫例はVI+VII分画が減少した. 子宮筋腫患者の性ホルモン投与後の尿中ステロイド排泄量の変動は, Androgen投与後の17-KS総量及び性腺分画の変動, Estrogen投与後の尿中Estrogen量の変動が特色的であつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-06-01
著者
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