制癌剤の効果に関する基礎的研究
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概要
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癌細胞の代謝構機の解明とともに, 制癌剤の作用機序も徐々に明らかにされつゝある. そこで臨床的に多く使用されている制癌剤(Nitromin D, Endoxan, Mitomycin C, Toyomycin, COPP, Methotrexate)が, in vivoに於て, ラット腹水肝癌(AH13)細胞の核酸代謝に与える影響を検討し, 更に^<60>Co照射と制癌剤の併用効果を核酸代謝の変化より追求した. 実験方法は, 癌細胞移植後4日目のラットに制癌剤の高・中・低濃度の投与及び^<60>Co全身1回照射(450r)を行い, ^<32>P注入3時間後に癌細胞を採集し, Schmidt-Thannhauser-Schneider法によりDNA, RNA分画を得, Allen法によりP量を測定し, G. M. ・カウンターで各分画の放射能を測定し, 比放射能を算定した. その結果, これら6種の制癌剤は, いずれもDNAへの^<32>Pとりこみを抑制し, Nitromin D, Endoxanは高濃度ではRNAへのとりこみも, ある程度抑制し, Mitomycin Cも中濃度でRNAへのとりこみ抑制を認めた. ToyomycinはDNAへのとりこみも抑制するが, RNAへのとりこみ抑制が特に著明であつた. COPPは, DNA, RNA共にとりこみ抑制は軽度であつた. ^<60>Co照射との併用では, EndoxanはDNA, RNA共に軽度ながら促進的であり, Mitolnycin C及びToyomycinは, とりこみ抑制が強く併用効果を認めた. 以上より臨床応用上, 制癌剤の作用機序を理解した上で, 薬剤の選択や併用療法を行うべきと考える.
- 1966-06-01