視床下部性FSH放出因子に関する研究
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概要
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下垂体前葉から分泌されるFollicle Stimulating Hormone(以下FSH)の分泌を支配する視床下部性放出因子について,その定量法の検討,牛視床下部からの抽出精製,更にその臨床応用を行ない,次のような結果を得た. (1) FSHのbioassay法につき検討を加えSwiss-Albino系マウスを自家繁殖し,五十嵐-McCann法が最も適当であり,本邦に於てもアメリカにおけると同一の成績を示すことを確認した. (2) 各種のFSH放出因子の活性定量法を検討し,五十嵐-McCannのFSH-RF定量法原法に改良を加えた.すなわち,去勢メスラットの高値を示す血中FSHを抑制するためにprogesterone投与を省略し,estradiol benzoateの量を25μgに減量した方がよいこと,検体注射後採血迄の時間は10分より20分がよく,更に45分が最適であることを証明した. (3) 数万頭に及ぶ牛視床下部を集め,Sephadex G25の長カラムを用いるゲル濾過法によつて抽出を行ない,FSH放出活性を示す3分画,LH放出活性を示す5分画を分離精製した. (4) 上記分画中強いFSH放出活性と弱いLH放出活性を示し,vasopressinを含まないD分画を世界で初めて臨床応用した.すなわちこれを排卵障害を示す不妊婦人に静脈内点滴注入し,14例中7例に卵胞成熟を惹起し,次いでHCGを投与した6例中2例に排卵を,その中1例に妊娠を招来させることに成功し,新しい排卵誘発法を示唆した.
- 1969-04-01
著者
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