絨毛性腫瘍の病理組織学的研究 : 特に形態学的基礎による予後判定の可能性について
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概要
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絨毛性腫瘍のPAM染色標本の総合的な光顕的観察により,Syncytiotrophoblast(以下ジ細胞と略)の細胞質内にあるPAM顆粒の状態が各腫瘍の診断および予後判定の極めて有力な基準となり得る事を見い出し,その本態を追求するため電子顕微鏡的に本顆粒の超微形態を観察し,以下の成績を得た. 1. 正常絨毛,胞状奇胎,破壊性胞状奇胎(以下破奇と略)におけるPAM顆粒は,比較的小さく円形である.又絨毛上皮癌(以下絨毛癌と略)と診断された症例の中で予後の良い非死亡群においても同様である. 2. 予後の悪い死亡群の絨毛癌では,極めて著しいPAM顆粒の増加と,形は不規則で粗大な顆粒が殆んどを占めている. 3. PAM顆粒はジ細胞のゴルジ体で微粒子の形で産生され,小胞体を通し生合成され細胞体内PAM顆粒となり,細胞体表面より分泌されるとみなされる. 4. ジ細胞で産生されたPAM陽性物質は,その溶媒に対する態度,染色性から糖蛋白とみなされ,顆粒状である事からHuman Chorionic Gonadotropin(以下HCGと略)の可能性も考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-03-01
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