持続発情ラットを用いてのLH-RFの生理作用に関する研究
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概要
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排卵現倉の解明に不可欠なLH-RFの生理作用或は作用機序を分析するために,連続照明による持続発情ラットにラット視床下部抽出物を投与し,その排卵誘発効果,及び下垂体LH,血漿LHへの影響を検討し,下記の結果を得た. 1) 成熟雌ラットは連続照明により持続発情状態になり,その下垂体LH含量は照明期間に比例して減少した.42日目の値は対照正常ラットの値に比し有意に低下した.血漿LHは測定不能であつた.これらの値及び卵巣の組織所見から持続発情ラットでは排卵に必要なLHの分泌機構が障害されていることが示された. 2) 視床下部粗抽出物2HE/匹以上の頚静脈注射により連続照明ラットでは排卵が誘発された.排卵率並びに排卵数は投与した視床下部抽出物の量と比例した.頚静脈注射では8HE/匹の投与でも無効であつた.大脳皮質抽出物,Oxytocin, Vasopressinは頚動脈注射でも無効であつた. 3) 視床下部抽出物の頚動脈注射により連続照明ラットの下垂体並びに血漿LHは興味ある変動を示した.即ち下垂体LHは投与10〜20分後に一過性に増加し,30〜60分後には減少し,60分後に最低値を示した.4時間後には再び注射前のレベルに戻つた.これに反し血漿LHは30〜60分後に測定可能なレベルに上昇し,60分後に最大値を示した.4時間後には再び測定不能になつた.かかる特異的な変動は頚静脈注射あるいは大脳皮質抽出物頚動脈注射時には認められなかつた.以上の結果より連続照明による持続発情ラットは視床下部のLH-RF分泌機構の障害により無排卵状態が続く事,又視床下部抽出物中には下垂体LH放出のみでなく,産生にも関与する因子が存在することが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-03-01
著者
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