本邦妊婦に対する脂質投与基準についての考察に関する研究 (第1報)
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概要
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妊婦における脂質栄養の重要性はいまさらいうまでもない.ことに近年妊娠時における必須脂酸のもつ有意義的役割が漸次解明されつつあり,妊婦に対し投与脂質の量のみでなく,これの質的な検討,すなわち適正な投与基準の確立が要請されているが,いまだ明解な解答が与えられていない.著者は当教室における系統的な妊婦栄養代謝追求の一環として,この課題について実験的に検討している.すなわち,正常末期妊婦および晩期妊娠中毒症妊婦に対し,量的,質的に異る高脂肪実験食を作製投与し,この際の中間代謝物質の消長から検討を加えたのである.実験食は5種類あり,その1つは標準食であり,他は高脂肪食である.高脂肪食は脂肪を60,90gとし,前者は更に必須脂酸約10%,30%,後者も約6%,40%に,それぞれ2つに分けた.対象妊婦を入院安静の状態におき,まず標準食を投与し,次いで各種高脂肪食を投与した.標準食投与後および高脂肪食投与後3,6,9日目に,早朝空腹時の末梢静脈血およびそれまでの24時間尿につき,ケトン体,α-ケトグルタール酸の経日的変動を追求した.第1報においてはケトン体の成績について報告する.すなわち正常末期妊婦においては,いずれの高脂肪食においても代謝異常は認められなかつたが,晩期妊娠中毒症妊婦においては脂肪60g,必須脂酸含有30%の場合にのみ,正常末期妊婦におけるとほぼ同様な傾向を示したが,他の場合はすべて血中,尿中ケトン体は増加の傾向を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-02-01
著者
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