家兎リンパ管内造影剤注入による胸管リンパ内細胞の変化
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概要
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著者は別報^<4)>にて家兎の急性炎症時に,油性,水性両造影剤を末梢リンパ管より,炎症の存在するリンパ節を通して注入し,リンパ系造影法を行ない,胸管リンパあるいは末梢血中に駆出される,細菌の有無について検討し報告した.今回は,造影剤が注入されることによつて胸管リンパ内細胞に何らかの変化を来たすのではないかという点について,正常雌家兎,ならびに,急性炎症下の家兎を用い,造影剤注入前,注入直後,注入3時間後の変化を油性,水性の両造影剤に分けて,その影響を検討した.その結果,正常雌家兎胸管内細胞数は,食後12時間では,最高38200,最低12000で平均1mm^3中19730±1392個であり,その細胞の種類の平均は,大リンパ球6.1%.小リンパ球は91.3%,単球1.3%,そのほか1.4%であつた.また,下肢末梢リンパ管より,油性,または水性の造影剤を注入すること,両者ともに,胸管内細胞数は,注入直後では注入前に比して幾分減少の傾向がみられた.一方,造影剤注入後3時間では,注入による造影剤の影響は取り除かれ,むしろ,注入前の値より増加した.急性炎症時,ことにstaphylococcus aureusを接種した家兎の胸管内細胞数は著明に増加した.この炎症の存在する家兎に,油性,水性の造影剤を注入すると,注入前より注入直後には細胞数は減少するが,3時間後には旧値に復する傾向を認めた.胸管にcannulationし胸管リンパ液を持続的に採り続けると採取後約3時間では,末梢血中のリンパ球は30-50%に近い減少が見られた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1969-01-01
著者
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