リンパ系造影法による細菌駆出に関する基礎的研究
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概要
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急性炎症の存在する個体に, リンパ系造影法を行なうことにより, 胸管リンパ, あるいは末梢血中に細菌が駆出されるかいなかについて検討した. 実験には正常家兎を用い, 供試菌にはStaphylococcus aureus G-6株, ならびにEscherichia coli O-2株を用い, 各群5羽の家兎について水性, 油性の両造影剤を注入し, その注入前, 注入直後, 注入後3時間について胸管リンパ, 末梢血液を採取し, 各々について細菌学的に検討し, 次の結果を得た. 油性造影剤注入群ではStaphylococcus aureusを9×10^<22>個/mlと大量に接種すると胸管リンパ中より, 造影剤注入直後には5例中3例, 3時間後にもなお2例に供試菌を認めた. また, Escherichia coilを3×10^<23>個/ml接種したものでは, 注入直後5例中1例, さらに, 3時間後では1例に供試菌を検出した. 一方, 水性造影剤注入群ではStaphylococcus aurecs接種例では, 5例中4例に注入直後において認められ, 注入後3時間では5例中2例に胸管内より供試菌が検出された. Escherichia coli接種例においては注入直後に1例, 3時間後にも5例中1例の供試菌が認められた, 末梢血液の培養においては, 左頚部リンパ本幹, 左鎖骨下リンパ幹を遮断し, 胸管よりcannulationし胸管リンパを採り続けたにもかかわらず供試菌が検出された. リンパ節内の細菌処理能力については, 本実験の如く大量の菌を接種した場合にはリンパ節の処理能力に限界を認めた. 急性炎症のある個体に, その所属リンパ節を介してリンパ系造影法を行なうことにより胸管リンパ, あるいは, 末梢血液中に細菌の駆出が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-11-01
著者
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