ヒト胎盤におけるアミノ酸輸送機構の研究 : L-Alanine、L-Leucineの徴絨毛膜小胞への取り込みについて
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概要
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ヒト胎盤におけるアミノ酸輸送機構の性質を明らかにするために,満期正常分娩の胎盤より調製した徴絨毛膜小胞を用い,L-alanine,L-leuCineの輸送系について解析した.調製した徴絨毛膜小胞の純度を生化学的に検討した結果,徴絨毛膜の指標酵素である,alkaline phosphatase, 5'-nucleotidaseの比活性は胎盤ホモジェネートに比べ,9〜11倍に上昇していた.アミノ酸の取り込み量は膜フィルター法により測定したが,取り込み量と反応溶液に加えた膜タンパク量(200μg以下)の間には直線関係があった.膜小胞のタンパクあたりの容量(Intravesicular water(IVW)/mg タンパク)を3-O-methyl-D-glucoseを用いて測定したところ,0.59μl/mgタンパクであった.L-alanine,L-leucineの単純拡散を除いた取り込みは,共に基質濃度10mMでほぼ飽和に達した.両逆数プロットにより求めたL-leucineに対するKmは4.2mM,Vmaxは1.16μmol/mlIVW/30sであり,すでに報告したように2組の速度パラメーターをもつL-alanineの場合とは明らかに異なっていた.L系で取り込まれるとされているL-leucineの取り込みは,100mMNa^+濃度勾配存在下では約2倍に促進されたが,L-alanineの場合にみられるovershoot現象は認められたかった.100mMNa^+濃度勾配存在下での取り込みを100%として,中性アミノ酸の輸送系であるA,ASC,L各系の割合を基質濃度0.1mMの条件下で求めると,L-alanineでは55%,20%,15%となり単純拡散10%であった.一方L-leucineではそれぞれ45%,0%,15%となり単純拡散は40%であった.以上の結果より,ヒト胎盤微絨毛膜に存在する中性アミノ酸の輸送系は,L-alanineとL-leucineで明らかに異なっていることが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-01-01
著者
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