風疹生ワクチン接種後の抗体価の変化とその臨床的意義の考察
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概要
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風疹ウイルス感染による血中抗体価の変動から感染時期を推測するため,風疹生ワクチンが接種された風疹抗体陰性考及び陽性者の抗体価の変動をenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)で観察し,自然感染例とも対比しつつその臨床的意義について検討した.1. 初感染モデルである風疹抗体陰性者では,生ワクチン接種後赤血球凝集抑制(hemagglutination inhibition,HI)反応抗体価は2週後から陽転し,4週後からはプラトーの状態となった.ELISA-IgMは4週後に全例陽転し,その後緩徐に抗体価は低下したが1年後でも陽性例が見られた.ELISA-IgGは3週後から緩慢な上昇を示し,漸減するIgMとの間に解離を生じ,全例陽転は5ヵ月後であった.2. 再感染モデルである抗体陽性者のワク千ソ接種前のHI抗体価は64倍から128倍の範囲にあったが,ELISA-IgM,-IgG抗体価とともに2週後に接種前低抗体価の群では上昇,高抗体価群では低下する傾向が見られ,IgM抗体は52%が陽性となった.3. 自然感染例とワクチン接種例との風疹IgM抗体価を比較すると,自然感染例の値は数倍高く,両者間に大きな差が見られた.4. 以上からIgM抗体陽性のみで近過去の感染と判定し奇形臨界期以内の感染としての危険性を云々することは難しいと思われた.風疹抗体陰性者への生ワクチン接種例は新鮮感染における抗体変化の特徴的パターンに通ずるものであろう.その意味でELISAでIgM,IgG抗体を連続的に観察することがより正確な診断材料となる可能性が示された.また,再感染によるブースター効果はそのIgM抗体上昇の幅が小さく短期間であることから再感染はある程度鑑別可能と思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-11-01
著者
-
矢吹 朗彦
石川県立中央病院産婦人科
-
干場 勉
石川県立中央病院
-
朝本 明弘
石川県立中央病院
-
朝本 明弘
石川県立中央病院産婦人科
-
朝本 明弘
石川県立中央婦人科
-
矢吹 朗彦
石川県立中央病院
-
田中 淳之
金沢大 がん研
-
木村 晋亮
石川県衛生公害研究所
-
田中 淳之
金沢大学がん研究所ウイルス部
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