風疹ウイルス感染における風疹IgG抗体の結合力測定

概要

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風疹初感染初期を初感染後期や再感染から鑑別するため, 尿素を用いた風疹IgG抗体の結合力(avidity)測定の有用性について検討した. 使用血清は顕性初感染23例の発病7〜1,477日後の116血清, 不顕性再感染8例の25血清, 胎内感染はないが妊娠初期に高赤血球凝集抑制(hemagglutination inhibition, HI)抗体価又は風疹IgM抗体弱陽性を示した15例の16血清である. 尿素洗浄時の吸光度の無処理時の値に対する百分率をavidity index (AI)とした. 初感染時のAIは発病後30日以内は30%以下と低く, その後は徐々に上昇し, 3カ月後に60〜80%のほぼプラトーの状態に達した. 一方, 再感染後, 高HI抗体価例, IgM抗体弱陽性例の血清のAIは, 各々79.2±7.5%, 93.5±4.1%, 90.6±5.0%と高値を示し, 初感染初期とは明瞭に区別された. 以上より, 尿素を用いたIgG抗体の結合力測定は, 高HI抗体価やIgM抗体を有する妊婦において初感染初期を診断する点で有用と考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1993-12-01