出生前の細胞遺伝学的検査に関する研究
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概要
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本研究においては特に羊水診断普及の陸路とされる技術的制約と診断の精度について詳細に検討をおこない, 以下の如き結論を得た.1)羊水培養法は直接培養法が最も簡便であり, 分裂中期細胞収穫率はトリプシン法よりも機械的剥離の方が優れている.2)羊水細胞は妊娠19週以降で増殖力が良好となる.羊水培養成功率と培養日数は, 羊水穿刺後2日以内であれば変化なく良好である.3)受診した妊婦の妊娠週数は, 妊娠16週が最も多く, 以後はほぼ同様の受診率であつた.妊娠22週以降の受診率が12.8%と高い.4)反復羊水穿刺が28%に必要であつた.とくに妊娠18週以前および3日以上経過した羊水検体の再検率が高い.羊水穿刺は早期に行危うことが望ましいが, 成功率を考えると, 妊娠18週から20週の間が適当である.5)羊水診断を行なつた理由のうち最も高率なのは前回ダウン症を出産した妊婦である.6)羊水診断受診年齢分布から見ると, 40歳以上の受診比率が高い.7)羊水診断を行なつた理由刑異常頻度は, 35歳以上の妊婦群で最も高く, 異常の種類も多様であつた.この群に4.8%の高率に異常が認められたのでこの群の羊水診断は積極的に行なうべきであると考える.8)羊水診断の誤診率は0.6%である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-11-01