教室における子宮頸癌Virchow氏節転移例の検討
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概要
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昭和33年1月から昭和49年12月までの17年間に岡山大学産婦人科において治療した4149例の子宮頚癌のうちVirchow氏節転移は79例(1.9%)に認められたが,このうち73例が原発巣治療後に転移を認めた例である.この73例につき検討を行い,以下の結果を得た.(1)子宮頚癌治療後のVirchow氏節転移再発率は1.7%であり,原発巣治療後2年以内にその75%が発見されている.この発生頻度と転移時期は臨床進行期と密接な関係をもち,進行期が進むにつれてその転移率は高く,転移時期は早くなる傾向を認めた.なお晩期再発例は4例(5.4%)であった.(2)原発巣の術後組織学的検索により,骨盤内リンパ節転移を80.6%の高率に認め,CPL分類でもL型が78.3%と高率であった.(3) Vitrchow氏節転移再発後の治療成績は極めて不良であり,再発加療後6ヶ月以内にその50%が,2年以内に90%が死亡していた.(4) 初回原発巣治療後の定期検診の段階でVirchow氏節転移発見時すでに他部位への同時再発は約50%に認められたが,実際にはもっと高率であるものと予期される.(5) Virchow氏節転移に対して行った治療法では削除及び放射線療法の併用療法が各々の単独療法や未加療例より明らかに延命効果を示しており,最長予後は50ヶ月であった.以上の事から,今後はVirchow氏節転移症例の治療法としては積極的に剔除を行い,その後放射線療法,化学療法,免疫療法等,より全身的見地からの治療が必要であると考えられた.又,その予防的な立場から,初回原発巣治療に際して,旁組織侵潤高度で,CRL分類のL型を示す症例については局所療法にとどまらず全身療法の導入が考えられるべきであろう.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-06-01
著者
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