子宮頚部境界病変に於ける診断的円錐切除術の削減について : 削減安全域決定とその指標に関する研究
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概要
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子宮頚部境界病変の診断に際し,現在外来で一般に行い得る検査を用いて,どの程度診断的円錐切除術の削減が可能かを追及した.円錐切除術例100例につき,術前に子宮膣部綿球擦過,頚管内綿棒擦過,頚管内Curettageによる部位別細胞診を行い,外来細胞診と合せた4種の細胞診結果をclass I,II, 0点,class IIIa 1点,class IIIb, 2点,class IV, 3点,class V, 4点と各々点数評価し,その合計点数を"細胞診点数"として,コルポ診,狙い組織診,円錐切除後連切診と比較検討した. その結果 1. 細胞診点数は連切診での病巣の拡がり及び病変の進行と共に増加し,組織学的な病巣の拡がり及び進行度をよく反映していた. 2. 細胞診点数4点以下の群は25例であり,病巣の拡がりは極小限局,進行度も最高上皮内癌どまりで,主に高度異型上皮以下で占められていた.狙い組織診は100%正診で適確に最高病変を捕らえていた. 3. 細胞診点数5〜8点群は27例であり,病巣の拡がりは2/8ブロック以下の限局性で,病変進行度は主に上皮内癌であつた.狙い組織診正診率は74.1%であつたが,コルポ診と部位別細胞診による病巣占拠部位の把握により,この中18例は狙い組織診で的確の最高病変を捕え得ると確信できた.残る9例はコルポ診,部位別細胞診で頚管主病変を疑わせた. 4. 細胞診点数9点以上の群は48例であり,病巣の拡がりが広く,病変進行度も初期間質内浸潤癌以上が52%を占めた.一方狙い組織診正診率は64.6%にとどまつた. 以上の検討から,外来細胞診に部位別細胞診を加え,これを点数評価した細胞診点数を用いて,コルポ診による狙い組織診の正当性を評価することにより,細胞診点数4点以下の群全25例及び5〜8点群の27例中18例の計43例(43%)は円錐切除術を行わずに的確な診断が可能である結果を得た.
- 1978-09-01
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